つかんでるの・・・


県道種差線某所


私が中3ぐらいのころ、県道種差線の坂道で2台の車による正面衝突で
計6名が死亡するといういたましい事故がありました。
つい最近まで、その事故現場には「6名死亡事故現場」という立て看板がありましたが
現在は枠のみとなっております。
この事故のあと亡くなった若者の友人・知人が恐怖の体験をしたと噂がながれました。

それは、こんなことです・・・・
県道種差線も夏場は種差、白浜を往来する若者の車がよく走っています。
ある時亡くなった若者の友人らが種差方面からこの事故現場を通りかかった時に、
坂道を下りきった丁度看板のあるあたりで急に車のヘッドライトが消え、エンストしてしまった。
乗車していたのは男3名女2名の合計5名、友人が亡くなった場所で急なエンストに女性達は
少しパニックなりかけたが、後席の男友達は「どうせ運転手のいたずらだろう」と思い、
「何やってんだっきゃ 早くエンジンかけろじゃ!」と運転していた友人に言ったところ、
「まじに突然止まったんだじゃ!」とセルを回している。
本当にエンジンがかからないようだ。
夜中に事故現場のまん前でエンジンがかからない車という状況にみんなの恐怖は徐々に
増していく。

運転席の後ろ側に乗っていた男性がふと外を見ると、看板の影からなにかが出ている。
よく見るとそれは亡くなった友人たちがこちらを見て不気味に笑っている。
「おぅ おぅー ありゃ ○○だーー!!」
その声に全員がいっせいに彼が言う方をみると、看板のかげからから亡くなったはずの友人達が
顔だけを出してこっちをみて不気味な笑顔を浮かべている。
車内はまたたくまにパニック状態となった。
必死にセルをまわすもエンジンはかからない。
「おせっ! おめんど外さでて 車をおせっ!」
とにかくこの場から逃れたかった男性2人は必死の思い出車外へ出て車を押した。
気が狂いそうになるほどの恐怖の中、見ないようにしていても視界の端にはこの世にいないはずの
友人達の顔が映りこむ。
車のセルモーターが突然回りだしエンジンがかかった。
車外へ出ていた2人は飛び込むように車へ乗った。
バックミラー越しに遠ざかる看板には依然として顔があった。

しばらく走り、誰もが放心したかのように車内は沈黙につつまれている。
少しずつ先ほどの恐怖が薄れ、先ほどのことが幻覚じゃなかったのかと思いはじめた。
自動販売機の明かりをみつけた運転手はジュースでも飲んで落ちつこうと、そこに停車した。

みんなのどがカラカラだったため、それぞれ好きなジュースを買ってふと見ると、一人たりない。
友人の彼女が車内の後部座席の真ん中に一人だけ降りずに乗っていた。
近寄って窓からのぞくと、真っ青な顔をして下を向き震えているようだ。
「どやった? 具合悪ぐなったか?」
ジュースで落ち着きを取り戻したみんなが彼女のそばに歩み寄った。
彼女は車の窓越しにみんなの方をみて震えるか細い声で言った。
「ぜったい逃げないでね・・」「ぜったいに逃げないでね・・」
ちょっと意味のわからなかったみんなは
「ん?どやしたっきゃ?」「なにが逃げないんだ?」
「逃げないすけ 大丈夫だって どーしたんだっきゃ?」
すると彼女は涙目で力なく答えた
「つかんでるの・・・」
「あたしをつかんでるの・・・」
なにげに車のドアを開けたみんなの視界にとびこんできたのは想像を絶する恐怖だった。
車の床から灰色の手がのび彼女の足首をつかんでいた。

「ぎゃーーー!!!!」
あまりの恐怖にみんなは車から逃げるように離れていった。
つかまれた彼女をのこして・・・・・


この後この彼女は狂死したとか、入院したとかいろいろな噂がたちましたが
事実確認はとれていません。
当時の友人だった人たちも、この件についてはみんな口を濁してしまいます。
よくある内容の話ですが、この事件の関係者は実際この話題については
触れたがりません。
取材中みんな一様に目の奥に恐怖を宿していることが事実を物語っているようでした。



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